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大阪高等裁判所 昭和35年(く)59号 決定 1960年9月09日

主文

原決定を取り消す。

理由

抗告理由は末尾に添付した即時抗告理由と題する書面に記載のとおりである。

原決定は、本件公職選挙法違反事件について発せられた略式命令に対して被告人らが提出した正式裁判請求書は、刑訴規則六〇条及び六一条の要件を具備していないから、被告人らの正式裁判の請求は刑訴法四六八条一項いわゆる法令上の方式に違反する場合に該当するとの理由で、被告人らの正式裁判の請求を棄却していることが明らかである。そこで調べてみるに、なるほど、記録によると、被告人らの提出した本件正式裁判請求書は、被告人らが自らこれに署名せず、右署名を他人に代書させたうえ被告人らにおいてこれに押印したに過ぎないものであり、しかも右代書した者においてその事由を記載して署名押印するという方式をふんでいないことが明らかであるから、刑訴規則六〇条、六一条二項の要件を具備せず、法定の方式を欠いていることは原決定の説示するとおりである。しかしながら、正式裁判請求書が右のように法定の方式を欠いた場合でも、これが直ちに右請求書を無効とすべきものではなく、右書面が真正に作成されたかどうかを判断してその効力の有無を判定すべきものと解するところ、記録によると、本件被告人らは、いずれも、正式裁判請求書を作成する意思をもつて、他人が被告人らのために文言を記載し、かつ被告人らの署名まで代書した本件正式裁判請求書に自ら押印したものであることが極めて明りようであるから、本件正式裁判請求書は真正に作成された有効の書面であると解してなんら差支ないものといわなければならない。そうだとすると、本件正式裁判の請求については原決定が指摘するような刑訴法四六八条一項にいわゆる法令上の方式に違反したかどはなく、従つて右請求を棄却した原決定は違法であるに帰するから、本件抗告は理由があり、原決定は取消を免れない。

よつて、刑訴法四二六条二項を適用して主文のとおり決定をする。

(裁判長判事 小田春雄 判事 山崎寅之助 竹中義郎)

<以下省略>

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